ジルベスターコンサートが年越し・カウントダウンイベントで無くなって3回目。かえって、この方が行きやすいのではないか、と思う。僕は車で行くのだが、道が混むかと思ったら、そうでもない。年末の買い物はもう済ませている人が結構多いのだろうか。
指揮は、2023年3月でびわ湖ホールの音楽監督を退く沼尻竜典。オーケストラは大阪交響楽団。それから、ルガーノ・パーカッション・アンサンブルが来てくれた。その為か大阪交響楽団の打楽器奏者はお休み。司会はいつも通り桂米團治。入りは結構良かったと思う。
オーケストラが入ってきて、マスクを外し始めた時とても嬉しかった。今まではオケの弦楽器奏者はマスクを着けたままの事が多かったのだから。もっとも、マスクを着けてる人もいたのは残念。
最初の曲は、ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」より「マランボ」。ひな壇の一番上にいるのが、ルガーノ・パーカッション・アンサンブルだとはっきりわかった。衣装が全然違うから(^^ゞ。聞いていると、リズムがもの凄く複雑だと言う事がわかる。それに、結構派手な曲だ。
終わると米團治が出てきて話・解説をする。今回、曲によって編成がかなり違うから、曲と曲の間があくのだ。それを米團治の話で埋めていた。
次の曲は、僕もよく知っている曲なのだが、「こうもり序曲」。こうやって改めて聞いてみると、この曲、結構複雑で、テンポもリズムもころころよくかわる。今回の演奏は、ワルツのところが特に印象的だった。粘るような感じ、と言えばいいだろうか。
それから、ルガーノ・パーカッション・アンサンブルと沼尻竜典氏のなれそめの話となった。この中に日本人男性がいて、その人と親しくなったのだとか。ルガーノと言う町はスイスにある。地図で見ると、スイスがイタリアに張り出した所にあり、スイスのイタリア語圏の町だ。次の曲は、このジルベスターコンサートの用に、ルガーノ・パーカッション・アンサンブルとオーケストラの為にM・シュタイナウアーが作曲した「ソット・アクア」と題された曲。今回が世界初演である。もしかして、"sotto acqua" と書くのではないだろうか。「水の下」と言う意味だと言う事だ。ルガーノ・パーカッション・アンサンブルのメンバーが最前列で一人が数々の楽器を使う。その楽器についての解説があった。一番面白かったのは、「砂」、そう只の「砂」。楽屋には「これは楽器です。捨てないで下さい」とあったとか。ここは石とか砂とか使うので、まさか楽器とは思われず、捨てられる事もあったとか。実は僕の務める工場でも同じような事がある。一見すると単なるゴミだけど、実は製品、だという場合があるのだ。幸いにして捨てられはしなかったけど。この曲は、打楽器群とトロンボーンがソリストの協奏曲のような感じの曲になっている。いわゆる、「難しい現代音楽」だ。
そして「ばらの騎士」組曲。沼尻竜典氏がここの音楽監督に就任して最初に上演したオペラが「ばらの騎士」だったとか。前任者の若杉氏はヴェルディの初期オペラで本邦初演が多かった。この沼尻氏になってから、「普通の」オペラが多くなり、また、オペラの上演回数も増えた。このオーケストラだけの曲を聞いていても、どこかオペラを彷彿とさせるところがあり、また、とても色っぽいと言うが、艶っぽい曲だ。
ここで幕間。この時に、今回も舞台で抽選会をやっていた。
ジルベスター・ファンファーレ隊が舞台中央、オーケストラと合唱の間に入ってきた。この時、オーケストラはほとんど無人。今回ファンファーレ隊が復活したが、いつものように三階のバルコニーではなく、舞台で演奏した。曲は、ヴァンデルロースト「Yokohama Festival Fanfare」。プログラムには、この曲は2013年「横浜音祭り」の為に作曲されたとの事。沼尻氏はこの曲を2022年に演奏しているとの事だ。
それから、「カルミナブラーナ」。これは大曲だ。最初は抜粋して演奏する予定だったようだが、全曲演奏してくれた。だから、公演時間が最初の予定より延びている。とにかく編成が大きいのだ。ピアノが二台、ハープが二台、チェレスタ一台を使う。また、打楽器はルガーノのメンバーが担当した。今度は、オケと同じく燕尾服姿だった。
また、今回、ジルベスター合唱団が復活した。なんせこの曲合唱が大活躍するのだもの。合唱には声楽アンサンブルも加わった。ただ、残念な事に合唱団は全員マスクを着けていた。こんな、意味の無い、馬鹿げた事をいつまで続けるのか。原語はラテン語・古いドイツ語・フランス語、歌唱は原語だった。それで、字幕が出た。今回の為の新訳だそうだ。僕の持っている訳とはちょっと違っている。
ソロは、ソプラノ:熊谷綾乃、テノール:清水徹太郎、この二人は卒業生。バリトン:市川敏雅、この人は現役。米團治氏によると、この曲はむちゃくちゃ高いのだそうだ。テノールは高いCよりも高いDが出てきて、バリトンも高いのだとか
聞いていると、テノールのソロは「あぶられた白鳥の歌」の一曲だけ。この一曲だけでもかなり体力を消耗するのではないだろうか。また、ソプラノソロの曲はCMソングとして使われた事もあったのでよく知られていると思う。
こうやって聞いていると、音楽というものは耳で聞くだけで無く、目で聞く事もできると言うことがわかる。例えは、ティンパニを二人で叩いたり、トランペット奏者が、ピストンとロータリーを使い分けていたり、金管がミュートを入れたり外したり、とか言うのが生演奏だとよくわかる。これは、配信でも聞けるとの事だが、生でないとここまでわからない。
その後、米團治の指揮で「雷鳴と稲妻」。こんな大曲の見事な演奏の後、米團治氏はさぞややりにくかっただろう。しかし、これは抽選結果を知らせる為に必要なのだ。背景のスクリーンに当選番号が表示されていく。驚いた、僕当たったのだ。
アンコールは毎度おなじみ「ラデツキー行進曲」。今度も、分散退場を呼びかける放送が入ったが、従う人はあまりいない。ま、それでもいいだろう。
大ホールを出ると中ホールで抽選の景品を渡していると言う事なので、今一度当選一覧表をよく見たら・・・当たった、と言うのは間違いだった。よく見て良かった、もう少しで大恥かくところだった。
駐車場はそれほど混雑していなかった。わりとスムーズにでられたと思う。それに、道もいつもよりは空いていたと思う。ジルベスター、こんどはどうなるのか、カウントダウンに戻るのか、このまま行くのか。僕はどちらでもいい、と思う。ただ、電車の事を考えると、今のような昼公演の方がいいのではないか、と思えてくる。
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