今回もジルベスターコンサートは行われたが、午後3時開演。どうやらJRの終夜運転がなくなったのでこの時刻に開演になったようだ。この日は雪。しかし、少なくともJR琵琶湖線沿線では近江八幡までは積雪は無い。とは言うものの、雪はどうなるかわからない。いつものように午後10時開演だと行けない、行っても帰ってこられない可能性が出てくる。だから、今回に関してはこの午後3時開演で助かった。
大晦日、雪、と言う事もあって早めに家を出たが、道は結構空いている。いつもより空いているようだ。どうやら正月の買い物はもう済ませた人が多いらしい。結構早く着いてしまった。
今回指揮は、2023年にびわ湖ホール音楽監督就任になる阪哲朗、オーケストラはいつもの大阪交響楽団、司会は毎度おなじみ桂米團治。構成・台本は中村敬一、ロビーでどこかで見たような人がいるな、と思ったらこの人だったw。
幕開きは「ジプシー男爵」序曲。司会の米團治によると、今回はウィーンづくしだとか。前半は、クライスラーの小品が中心になっていた。バイオリン独奏は三浦文彰。今回取り上げるクライスラーはウィーンの人。バイオリンの名手で作曲もした人。「愛の喜び」「愛の悲しみ 」、それからオーケストラ曲の「ポルカ・ハンガリー万歳」(ヨハン・シュトラウスII)、それから 「美しきロスマリン」「中国の太鼓」。
これらのクライスラーの小品はいずれもバイオリンとピアノとの作品だ。このようにオーケストラとの共演は珍しい。こういう珍しい事をやってくれるのがびわ湖ホールの良いところ。
幕間の後は、「ジプシー男爵」の美味しいとこ取り、ハイライト。実はこの「ジプシー男爵」は宝塚歌劇になった事がある。2010年月組公演で、主演は霧矢大夢だった。作演出は谷正純、「皆殺しの谷」との異名を持つこの人(w)だが、この時は原作に忠実だったのだろう死人は出なかったと思うw。物語は今回紹介されたのとほとんど同じだっと記憶している。ただ、音楽がまずかった。シュトラウスの音楽をそのまま使っている部分と宝塚で付け加えた音楽が全く違って木に竹を接いだようになってしまった。その上、物語とは全く関係の無いプロローグがついていて、失敗作と言わざるを得ないものだった。ただ、「ジプシー男爵」と言う日本ではあまり上演されないオペレッタを曲がりなりもやってくれたのが嬉しかった事だけを覚えている。
今回改めて聞いてみて、なかなか面白いと思うと同時に、音楽が結構難しいのではないだろうかと思った。それは、音楽があまりにもハンガリー風・ジプシー風・ウィーン風で癖があるからだ。
第二序曲と呼ばれている「宝のワルツ」の後、声楽アンサンブル・卒業生の歌・合唱で以下の曲が演奏された。
*すべてを名誉にかけて(バリンカイ、合唱)
*私には予感がする(ツィプラ・ザッフィ・バリンカイ・カルネロ伯爵・合唱)
*ジプシーの歌(ザッフィ)
*宝石の三重唱(ツィプラ・バリンカイ・ザッフィ)
*二重唱「結婚の証人は」(ザッフィ・バリンカイ・合唱)
*募兵の歌(ホモナイ伯爵)
*入場行進曲
*三幕フィナーレ「結婚だ万歳」(ザッフィ・バリンカイ・ツィプラ・ジュバン・ホモナイ伯爵・合唱)
ソロは
バリンカイ:島影聖人、 ザッフィ:船越亜弥、 ツィプラ:益田早織、 ホモナイ伯爵:迎肇聡 この4人が卒業生
ジュバン・カルネロ伯爵:平欣史 この人は現役 合唱は声楽アンサンブルだけど、卒業生が二人助っ人に来てくれた。テノールに古屋彰久、バスに林隆史。
物語の進行を米團治がわかりやすく、面白く語ってくれた。この中で聞き覚えのあるのは「募兵の歌」くらいだった。この歌は宝塚版もほとんど同じだと思う。男役はテノールの声が出ない。だから主役バリンカイ(テノール)の歌は宝塚で上演するときは変えざるを得ない。これが失敗の原因だろう。
こうやって聞いてみるとなかなか面白い。是非、全曲を演奏して欲しいものだ。
米團治が阪哲朗からヨーロッパのオペレッタ事情を聞いていたのが興味深かった。劇場が流行るのは天気の悪い時だそうだ。天気が良いと他に行くところが一杯あるらしい。オペラだと着飾って行くけど、オペレッタだとそうでもないとか。南座でも顔見世なら着飾った観客が主流だけど、他の公演ならそうでもない。以前はオペレッタは気楽に楽しめるから老若男女に人気があったのだが、今は若者はミュージカルに年配者がオペレッタにと棲み分けが進んでいるとか。僕はどちらかと言うとオペラは気楽に楽しめるのが良い。深刻なのはミュージカルで、そうでなければ歌舞伎や文楽で見たい。ミュージカルも結構奥が深いのだ。「レ・ミズ」とか「ジキルとハイド」とか。
最後は「竹取物語」から「光の環の中を~帝ひとり~終曲」。前回と同じく、次回ここびわ湖ホールで上演される演目の宣伝を兼ねている。これが、またよかった!!!!以前も見ているが、是非今回も見たいと思ってチケットはもう取ってある。
最後はおなじみ「ラデツキー行進曲」。
と言う事で終わりだが、規制退場の為、ちょっと足止めを喰らった。実は、規制退場したほうが、駐車場で車に乗ってから出口までの時間が確実に短いのだ。この間米團治が残ってくれた。そして、小咄をやってくれた。故米朝が最晩年、小咄を言おうとして「隣の家に塀ができたってね」と言ったのだそうだ。ま、「かっこいい」と落としていたとの事。
帰路も結構空いていた。「ほたるの湯」でゆっくり暖まって帰ってきた。
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