7月6日(土)びわ湖ホール小ホール
これはびわ湖ホールの初代音楽監督若杉弘が寄贈したピアノ「ピノ」を使ったシリーズの第6段。今回ピアノとお話を担当する園田隆一郎氏が担当するこのシリーズは今回が最後だそうだ。それに、竹内直己、二塚直己、山本康寛とびわ湖ホール4大テノールの内三人までが出演している。これは行かない手はない、と思って行ってきた。
舞台は園田隆一郎の話から始まった。今回は、前二回とは違って気楽な感じで楽しんでいただきたい、とか。来てよかった。
最初の曲は
「ドン・パスクワーレ」からのアリア、「なんと心地よい四月の夜」。これ、愛しい人の窓の下で男が気を引こうとして歌う歌だとか。最初は、せっかくの山本康寛の姿を見せず声を聞かせるのみ、途中から舞台に出てくる。このオペラは以前大ホールでやったけど、ゲネプロをみただけ。
次は「星は光ぬ」、歌は竹内直己、4大テノールのコンサートでもこの人がこのアリアを歌うのを聞いた事がある。勿論今回も大当たり!!!この人、出てくる時からカヴァラドッシになりきっていた。
次いで二塚直紀の歌で、ピエトリ作曲オペラ「マリステッラ」より「僕は誰も知らない花園をしっている」。これは初めて聞く曲。
次はオペラでしられている作曲家の意外な曲、レオンカヴァロ「マッティナータ」・歌:竹内直紀、マスカーニ「セレナータ」・歌:山本康寛、この二曲は”朝の歌”と”夕べの歌”。つまり、朝も夕方も恋しい人の窓辺で愛をささやくわけだ。こうやって聞いていると、イタリア人の男は女を口説く事しか頭にないように思えるw それにしても、今回の竹内直己は「二枚目」だった。いつもの三枚目ぶりを押さえて(?)、とてもかっこよかった。それからデンツァ:妖精の瞳 歌:二塚直己 デンツァと言えば「フニクリ・フニクラ」が代表作だけど、それとは全く違った曲。
それからオペラ・クラシックの中の「ヒット曲」をすべてイタリア語で。オペラが原語上演されるようになったのはそれほど古い事ではない、と言う話があった。もしかして、原語上演がさかんになったのは字幕が発達してきたからなのだろうか。ビゼーの「真珠取りの歌」はオペラのアリア、としてだけでなくポピュラーソングとしても聞いたことがある。歌は山本康寛、彼はフランス語では歌った事もあるけど今回イタリア語で覚え直してもらったとか。
「薔薇の騎士」のいうなら挿入歌「厳しさに胸を装い」。この「薔薇の騎士」はドイツ語、と言うよりはウィーン言葉で書かれているのだが、これはイタリア語。ホーフマンスタールはイタリア語にも堪能だったのだろうか。歌は二塚直己。
ショパンの練習曲集op.10 No.3 、と言うより今回は「別れの曲」、歌は竹内直己。この曲に詞をつけたもの、と聞くと大林宣彦監督の「さびしんぼう」を思い出すだけどw それからレハールの「微笑みの国」から「君こそ我が心のすべて」、これもイタリア語で。 ドイツ語でもイタリア語でも二塚直己の歌が素晴らしい事に変わりはない。と言うところで幕間。
後半はトスティの歌から。この人はイタリア人の作曲家では珍しくオペラを書かなかった人。その代わりにたくさん歌曲を書いて、よく歌われている。園田隆一郎は一時食傷気味になったとか。今回は4曲、「魅惑」歌:竹内直紀、「君なんかもう」:山本康寛、「可愛い口もと」:二塚直己、「最後の歌」:竹内直己。
次いでアーンの歌曲を2曲。歌曲集「ヴェネツィア」より「まどろむ水の上に」歌:山本康寛 「小舟」歌:二塚直紀 今回アーンを取り上げたのは、園田隆一郎の個人的な趣味だとか。こうやって聞いてくると、オペラからカンツォーネへの流れがわかってくる。
そして映画音楽を三曲、「森の道」歌:竹内直己、「私を泣かせる君」歌:二塚直紀、この歌はデ・シーカも歌ったことがあり、録音が残っている。デ・シーカ、そうあの映画監督、「ひまわり」「自転車泥棒」のデ・シーカだ。デ・シーカは俳優としても映画に出ている。この二曲とも初めて聞く曲名だが、いざ聞いてみるとどこかで聞いた覚えがあった。そして、ニーノ・ロータ「お遊びは終わりに(ロミオとジュリエット)」。そう、オリビア・ハッセーがジュリエットを演じ、ゼッフィレッリが監督した映画の主題歌だ。歌は山本康寛。こうやって改めてきいて見ると、山本氏の歌い方にもよるけど、とてもドラマティックだった。この二曲とも楽譜がなくて、植松さやか氏、そう四大テノールのピアニストとしてびわ湖ホールによく出演している植松氏の手を借りたとか。
最後は、全員でこのコンサートの外題となった「ヴォラーレ」。いつもの4大テノールのノリでとても楽しかった。アンコールは、ニーノ・ロータと並ぶ映画音楽の巨匠モリコーネの「ネッラ・ファンタジア」。ホールを出ると、出演者が出てきて見送ってくれたけど、僕は恥ずかしくて、素通りしてきたw
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