昼の部を見たのは4月20日(土)。入ってびっくりした。大入りなのだ。補助席まで出ている。案内のおねえさんに聞いてみると、初日から大入りだそうだ。忠臣蔵の通しって堅い難しい演目なのでこれほど入るとは思わなかった。それはこのおねえさんも同じだったらしい。演目が発表になったとき思ったのは、忠臣蔵の通しでは入らないだろうから、それを補う為に、「金閣寺」「堀川」と言う派手でわかりやすい演目を持ってきたのだと思った。しかし結果としては逆になっらた。
今回の目玉は、4月・夏休み・11月でノーカットで上演します、との事。今まで忠臣蔵、だけではなく通し上演は数々あるが、完全ノーカットは滅多にない。大入りの原因は、完全ノーカットと言う事だろう。
忠臣蔵なんて何度も見ている、と思って家にある番附を探してみたら、忠臣蔵を通しで見るのはほぼ20年ぶりだった。上演順は
大序 鶴ヶ丘兜改めの段
恋歌の段
二段目 桃井館力弥使者の段
本蔵松切りの段
三段目 下馬先進物の段
腰元おかる文使いの段
殿中刃傷の段
四段目 花籠の段
判官切腹の段
城明け渡しの段
よく考えたら、通しの昼の部を文楽劇場で見るのは初めてかもしれない。南座で文楽をやった時に通しで忠臣蔵が出てその時に見たことはあるのだが。普通は通しの時昼の部は六段目の勘平腹切りまで上演するのだが、それだと詰め込みで幕間もすくなくつらい。だから、つい敬遠してしまう。これだと、ゆっくりみていられる。
大序・二段目では、人形は黒衣、三段目から出遣いになる。それに、大序の兜改めの浄瑠璃は、碩太夫・亘太夫・小住太夫・咲寿太夫、清允・燕二郎・錦吾・清公だが、四組交代ですべて御簾内。
番附によると、二段目の「桃井館力弥使者の段」はカットされる事が多いとの事。それを今回やってくれるのが嬉しい。
おもしろいと思ったのは「刃傷の場」、床は呂勢太夫と清治。師直が笑うところが文楽独自の笑い方なので。四段目の初め花籠の段は、文字久太夫改め藤太夫と團七。とくに口上もなかった。単なる「改名」で「襲名」ではないからだろうか。今回切り場は判官切腹の場で、床は咲太夫と燕三。しかし、この場は人形が中心。この場は「通せん場」で出入り禁止。これは歌舞伎でやるときも同じ。歌舞伎だと、ここがいやに長く退屈なのだが、文楽はそうでもない。ここでやっと由良之助が出てくるのだが、なんかあっさりしている気がした。
城明け渡し、と言うと先代玉男が忘れられないが、今回由良之助を遣っている二代目もなかなかのものだった。
こうやって通しで全部やってくれると話がわかりやすい。次の五段目六段目が楽しみだ。
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