2018年2月4日(日) びわ湖ホール小ホール
この晴雅彦と言う人は、びわ湖ホールにもよく来ているバリトン歌手。僕は以前「竹取物語」で見た。その時がとても良かったので、このコンサートに行く気になった。
このコンサートは完売、当日券も出なかった。このところ、びわ湖ホールの催しは完売が結構多い。なかなか良い傾向だ。
登場して最初に歌ったのは R・アーン:クロリスに これフランス語。
ここで、挨拶。薄くなった後頭部をみせて、わたしは「晴」です、お間違えのないように、といつものギャグ。また、わたしが貧相な分、ピアニストには男前をご用意しました、耳はわたしの方、目はピアニストにむけてください、と言って笑わせる。なるほど、この前川裕介と言うピアニスト、もちろん腕前もいいが、若くて見目麗しいのがいい。
続いてドイツ語の歌
シューベルト:ます(鱒)、音楽に寄せて
ブラームス:日曜日
R・シュトラウス:献身
ここで衣装を変えて
コルンゴルト:「死の都」より ”私の憧れ、私の迷い”
これが良かった。この曲は、このコンサート中の他の曲とはひと味もふた味も違う。例えば、音の行き方が、こちらの予想を裏切るのだ。この音なら次はこの音かとこちらが思う予想とは、違った方に行く。晴氏はこのオペラがびわ湖ホールで上演された時参加している。なるほど、とても説得力のある演奏だった。ああ、このオペラみておけば良かった。
また、衣装を変えて今度はイタリア語の歌
ドナウディ:限りなく美しい絵姿
ガスタルドン:禁じられた音楽
トスティ:歌曲集「アマランタの4つの歌」より ”暁は光から影を隔てて”
また、衣装を変えて今度は日本語の歌。この歌は、中村茂隆氏が晴氏の為に書いた曲。詞は、当時小学一年生のよしむらかいてつ君。詞はすべてひらがなで書いてあるとの事。「かい」「どくしん」「おかあさんのて」「よめさん」「きょうよう」「たのしみ」の6曲。詞に神戸弁が生きてる。たとえば「て(手)」ではなく「てー」なのだ。それに、詞の面白い事。たとえば、おかあさんは、ブスと結婚しーと言う、ブスは3日でなれるけど、べっぴんは3日であきる、そんならお父さんはもうなれたのやなー、でも、ぼくはべっぴんがええな、とか、おかあさんは一日中水仕事しているから、手が真っ赤、よるになるとマッサージしている、顔はいまさらマッサージしてもおんなじやから、てー(手)ばっかりマッサージしている。どれも面白く、思わず会場のすみずみから笑い声があがる。歌う晴氏もとても嬉しそうだった。
また衣装を変えて、最後の曲はミュージカルナンバー。「美女と野獣」より”愛せぬならば”。これもまた名演だった。今回は日本語で歌ってくれた。この人は、やはりオペラ歌手、こういう歌がいい。それに、このナンバーもコルンゴルドの曲も、切ない歌詞だ。この人は、こんな切ない歌を歌を歌わせると絶品だ。
アンコールは「千の風になって」。
一時間の短いコンサートだが、とても満足した。完売になるのも無理はない。
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