木曜深夜読売テレビで放送しているドラマは面白くて毎回見ているが、特に12月7日に終わった「ブラックリベンジ」は面白かった。
将来を嘱望された若手政治家寺田圭吾は、週刊星流が捏造したスキャンダルの為に政治生命を絶たれ、果ては本当に自殺してしまう。五年後、彼の妻・今宮沙織は週刊星流編集部の記者となり、夫を自殺の追い込んだ三人の人物にスキャンダルで復讐していく。と言う話だった。
週刊星流と言うのがまるで週刊文春のようだった。最初の3話くらいは、痛快で「もっとやれ!」と思いながらみていた。なんせ、寺田圭吾の記事は捏造だったが、元妻今宮が暴くスキャンダルは事実なのだから。
しかし、三人目の復讐が終わった時、これからどうなるのかと思った。ここまでで4話、だいたいこの時間帯のドラマは10話~12話で完結するのだ。続きはどうなるのか。ここらあたりから、裏の裏があるのではないか、と思わせる展開になってくる。
そして9話、最終回の前で大展開が起こる。週刊星流の編集長の台詞が印象的だった。自分は人の不幸を飯のネタにしている。人は他人の不幸が大好きだ。人の不幸を見て、自分はまだましだと思うのだ。なんて下衆な仕事だろう。でも、自分は生まれ変わってもこの仕事をするだろう。
そして最終回、ちょっとは予想していたが、すべての真相がわかる。ネットでは、動機が弱いと言う意見もある。確かにそうだろう。でも、怖いのはその「動機が弱い」と言う事。自分でも気づかないようなささいな事で、人の恨みを買ってしまう恐怖。その復讐の連鎖がもららす悲劇。これがこのドラマの本質だろう。
ラスト、復讐にとらわれなかった人達には新しい未来が待っている。しかし、復讐の連鎖にとらわれた人達は悲惨な末路を遂げる。でも、ちょっとだけ救いがあるような感じもする。復讐とはむなしいものだ。それはわかる。しかし、たとえばこのドラマのヒロインのような場合では、復讐が禁じられていたなら、いったいそのやりきれない気持ちをどこにぶつけたらいいのか。
それに、気になるのは最近の傾向。週刊誌があばくスキャンダルを初めとして、だんだん「遊び」「ゆとり」がなくなって行くような世の中になっている。役者なら愛人の一人や二人いてもあたりまえ。相撲界で兄弟子とは無理辺にげんこつと書く。大学生に入学したら歓迎コンパで飲まされる、20歳になったら大人の飲み方を習得する事になる。そんな「ゆとり」「ゆるさ」がなくなって行く。ぎすぎすした、余裕のない世の中になってしまったようだ。
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