長いこと初日のチケットが取れなかったが、今回やっと取れたので初日に行ってきた。
観劇日1月3日11:00開演 第一部 2等席 19列19番
今年も例年の如く、開演前に劇場前で鏡開きがあった。僕が劇場前に着いたのが遅くて、もうすでにかなり行列が長くなっていた。職員の方が並んでいる人に、使い捨てカイロ付きのチラシを配っていた。行列に並んでいると、黒門市場から鯛が運ばれてくるのがみえた。まもなく鏡開きが始まった、のはいいが僕の位置からは見えなかった。スピーカーで挨拶の声は聞こえたが。
「維新」が政権をとってから、大阪市長・知事が来なくなった。今年は三業(太夫・三味線・人形)の挨拶もなし。関係者と黒門市場の代表、それに、今年襲名する咲甫太夫と幸助の挨拶があった。それに「花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)」に出る太夫と才蔵の人形が加わって、鏡開き。人形が酒をくんでくれるのだが、僕の少し前で、出番が近いからと人形はひっこんだ。残念。
今回は幸運な事に、二等席が取れた。毎年の事だが初日の昼は満席。補助席を出していた。それは二等席の後ろ。この補助席三等席になるのだろうか。
最初の演目、「花競四季寿」は以前見た事がある。万才・鷺娘・海女・関寺小町の四部作だが、今回は万才・鷺娘のみ。鷺娘は歌舞伎舞踊の鷺娘とかなり違う。でも、白無垢・傘で出てくる、衣装を一瞬で替えるのは同じ。
次いで「俊寛」。呂太夫と清介。人形は俊寛が玉男、千鳥が蓑助。ここで、30分の幕間があるが、手ぬぐいまきがあった。三人出てきたのだ、その一人が四月に襲名する幸助。
それから「口上」。幕が開いて、驚いた。咲太夫と咲甫太夫改め六代目織太夫しかいないのだ。挨拶は咲太夫のみ。なんでも、この公演は咲太夫の父、八代目綱太夫の五十回忌記念公演で、それで八代目綱太夫の前名織太夫を弟子の咲甫太夫に襲名させる事にしたとの事。
八代目綱太夫の誕生日は1月3日、逝去したのも1月3日、それで、襲名もこの日1月3日にしたとの事。十七代目勘三郎が亡父歌六の五十回忌記念興行を歌舞伎座で行った話をして、涙で声を詰まらせた。ここで、客席から拍手とかけ声がかかる。でも、咲太夫は変わり身が早い。すぐ立ち直って、話を続けた。
襲名披露公演は「摂州合邦辻」から「合邦住家」。これ大曲である。幕開き(中)は、南都太夫と精馗(せいき)この三味線弾きの精馗は新織太夫の弟だそうだ。そして、「いとしんしんたる夜の道」で玉手が出てくる所からが切で切場語の咲太夫・清治にかわる。人形は、合邦が和生、女房が勘壽(かんじゅ)、玉手御前が勘十郎。勘十郎の人形・咲大夫の浄瑠璃ともに、玉手のクドキのところが見事だった。それに合邦が「幽霊もさぞひだるかろ(空腹だろう)」と言う所、それに女房が合邦に娘を助けてと頼むところ、まさに名演だった。
女房が玉手をつれてひっこんで、それと同じく咲太夫もひっこんで、咲甫太夫改め織太夫の出となる。三味線は燕三。見事な出来だ。一番良かったのは、玉手が手負いになってからダレなかった所。それに、合邦が娘・玉手を殺す時、その悲しみとつらさが十分に表現されていた。ここは、拍手喝采で、客席の涙をさそった。また、玉手御前のすさまじさ、「邪魔しやったら蹴殺す」と言うところが十分に表現されていた。もう、上出来、大当たりであった。
ホント、この人上手くなった。織太夫を襲名するだけの事はある。
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